こんにちは、アイティプラス(IT+)の三木です。

今回も損益シミュレーションについてです。
今日は前回お話した売上原価、変動費、固定費を具体的に挙げた例を元に、実際に計算してみたいと思います。

1、売上原価と粗利益

売上原価の各項目の数字を加算して以下の公式にあてはめてみます。
売上 - 売上原価 = 粗利益
更に導き出した粗利益を売上で割ると、粗利益率が出ます。
最低でも30%以上はクリアしたいところです。

例:北欧デザインのブランケット専門店で人気のブランケットは、販売価格が1点5000円、仕入れ原価が2500円。
この場合は5000‐2500円=2500円の粗利益で、粗利益率は2500÷5000=0.5(50%)となります。

2、変動費と限界利益

変動費の各項目の数字を加算して以下の公式にあてはめてみましょう。
粗利益 - 変動費 = 限界利益
更に導き出した粗利益を売上で割ると、限界利益率が出ます。
最低でも10%以上はクリアしたいところです。
(限界利益率がマイナスになる場合は論外です。価格設定や原価の見直しをしましょう)

例:販売価格5000円、粗利益2500円、粗利益率50%のブランケットは、送料はお客様負担のため0円、500円の梱包費用、更におまけとして同封しているクーポンの製作費+お礼状の用紙代等で100円、カード決済手数料で150円かかります。
この場合は2500円-(500円+100円+150円)=1750円の限界利益で、限界利益率は1750÷5000=0.35(35%)となります。

3、固定費と営業利益

固定費の各項目の数字を加算して以下の公式にあてはめてみましょう。
限界利益 - 固定費 = 営業利益
更に導き出した営業利益を売上で割ると、営業利益率が出ます。
固定費は1商品毎の金額が出せませんので、ここでは月間売上を元に算出します。

例:販売価格5000円、限界利益1750円、限界利益率35%のブランケットは、先月の販売数が20点、総売上が100,000円でした。
固定費は独自ドメインの使用料として月に200円、決済会社へのシステム使用料として月3000円、レンタルカートの使用料として月3000円がかかります。更に人件費として、1日4時間×月に10日時間を割いているため、時給1000円として1日4000円×10=40,000円がかかります。
この場合は営業利益が1750円×20で35,000円-(200円+3000円+3000円+40000円)=-11,200円の営業利益で、営業利益率は-11,200円÷100,000=-0.11(-11%)となります。
ここで数字上は-11,200円となりましたが、ショップオーナーの手元には人件費で計上した40,000円(自身の給与)-11,200円=28,800円が残っていることになります。

4、損益シミュレーションからわかること

今回のブランケットの例を見ると、一見すると月10万円の売上で手元に10万円の現金があり、儲かったように感じてしまいますが、実質はその殆どを経費として支払い赤字であることがわかります。
このような表を作成してみました。
固定費sc1
単価が5000円の場合、販売数が30でやっと黒字になることがわかります。
更には、
固定費sc2
単価を6000円にすることで販売数が20でも利益が出ることがわかります。
つまり
限界利益 > 固定費 ・・・黒字
限界利益 < 固定費 ・・・赤字
限界利益 = 固定費 ・・・±0
のように、限界利益の総額が固定費を超えるかどうかで、営業利益がプラスかマイナスか決まります。
(余談ですがこの限界利益と固定費がイコールになる売上金額のことを、損益分岐点売上と呼びます)

ここでこんな例を挙げてみましょう。

パートをしているAさんがゆくゆくは自宅でインターネットを使ったビジネスを行いたいと思い、まずはパートと並行してハンドメイドの子供服のネットショップをオープンすることにしました。
子供服を一着作るのに材料費は都内の手芸店で購入して約1500円なので、販売価格は「大体3倍くらいかな?4500円で1個売れて利益が3000円ならいいかな」と考え4500円に決定。
レンタルカートの使用料は月額900円、クレジットカードの決済手数料が4%。
子供服を一着製作するのに約1時間がかかります。
梱包にはオリジナルの紙袋を用意し、それにお礼状や段ボール費用などで商品1個につき400円。
パートもあるのでネットショップにかける時間は1日3時間×月15日程(製作時間を除く)でした。
Aさんがネットショップを無事にスタートさせ、最初の1か月は友人やその紹介で10着売れました。
ところがその翌月は新規のお客様が来ずに売れたのは2着のみ。
翌々月はなんとか7着販売することができました。

さて、Aさんの営業利益はどのくらいあったと思いますか?
実際に計算してみましょう。
売上原価は材料費1500円と製造原価1000円(時給1000円として)なので、粗利益は4500円―(1500円+1000円)=2000円の粗利益。
変動費は400円+カードの決済手数料が1個当たり180円で、2000円―580円=1420円の限界利益。
固定費は900円+人件費が45000円で、合計45900円です。
それでは先ほどと同じ表にあてはめてみます。
固定費sc3
こうしてみると残念ながらAさんは毎月赤字で、特に2か月目は自分の人件費すら殆ど捻出できませんでした。
個人ショップですから、人件費の45000円を計上しなければもちろん黒字にはなる訳ですが、毎月45時間を費やして1万円程度の収入ならよっぽどパートの日数を増やした方が収入増に繋がります。
かといって販売価格を8000円にすればいいかと言えば、それでは今度は販売個数が減ってしまうかもしれません。

今回の例は極端かもしれませんが、Aさんのように価格の根拠がなかったり、利益率をどの程度に設定すればいいのかわからない方は沢山いらっしゃるのではないかと思います。
先ずはしっかりと原価や費用を把握し、費用に見合った価格設定になっているのか、ビジネスとして成り立っているのかを確認することも、とても大切な作業の一つです。
また価格だけでなく必要以上に変動費が発生していないかのチェックや、仕入原価を抑える努力をすることでも、同じ販売価格でより大きな利益を生み出すことができます。
先ほどのAさんの例で言うと、

  • 都内の手芸店よりも安い価格で仕入れられる問屋を探す
  • 製作時間を1時間から30分に短縮できるようにスキルアップする
  • 梱包用の紙袋を大量に仕入れて単価を下げる

など、できることは沢山あります。
このような努力を日々重ねていくことで、お客様に適正な価格で販売しつつ自身も利益を得られるWin-Winな図式を築いていけるのだと思います。

自身のショップのお金の流れを把握したい時や商品の価格決定に悩んだ際には、是非この損益シミュレーションを参考にしていただければ幸いです。

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